店主の日記 ときどき女将

2023-11-18 13:14:00

新蕎麦 はじめません

夏が終わると「新蕎麦はいつから?」とお客様からよくきかれます。

「うちは新蕎麦やらないんですよ」と返答すると、

残念そうなお顔をされている方が多いので日記にかいてみました。

 

新物を食べたい。

旬や季節を味わいたい。

お気持ちはよくわかります。

ただ、蕎麦の味としてはどうでしょう?

 

当店は収穫して適切な環境下で寝かせた玄蕎麦のほうが新蕎麦よりも味が良いと思っています。

なにより私たちはその方が蕎麦の味として好きなんです。

流行りの言い方だと「熟成蕎麦」になるのでしょうか。

ワインで例えるならば、ボジョレーヌーヴォーよりもすこし寝かせたもの。

私たちの好きなお寿司屋さんも新米は使わないそうです。

 

新蕎麦の時期になると各地の契約農家さんへ玄蕎麦を注文します。

そして良い状態になるまで穀物冷蔵庫で寝かせた産地の玄蕎麦を自家製粉します。

自分たちが一番美味しいと思う産地の玄蕎麦で蕎麦を作りお出ししたい。

そんな理由から産地別の食べ比べもやってません。

他の産地の蕎麦の食べ比べ!となると、

自分はこっちの方が好きなんだよなぁなんて思って、

好みの方だけをお出ししたくなってしまう店主の性分なので。

 

とはいえ新蕎麦ならではの緑色や干草の香りを好まれる方も、

ボジョレーがお好きな方もいます。

産地別の味比べを好まれる方も多く、そのスタイルが最近の流行りにもなっています。

お客様それぞれのお好みがあるように、店の作り手にも好みがあります。

好みに合わないからこの店は不味いというのではなく、

お客様と店のマッチングなんですよね。

 

今後も自分たちが美味しいと思う蕎麦を、自信をもってお出ししていきたいと思っています。

それがみなさまのお好みに合いますととても嬉しいです。

 

ちなみに現在は新潟妙高の1年寝かせた去年の玄蕎麦を使用しています。

 

ときどき 女将